J・S・バッハ(1685-1750):
CD1,2:ブランデンブルク協奏曲(全曲) BWV.1046-1051
CD3,4:
・管弦楽組曲(全曲) BWV.1066-1069
・ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 BWV.1041
・ヴァイオリン協奏曲第2番 ホ長調 BWV.1042
・2台のヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV.1043
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン、指揮)/ラ・プティット・バンド
ルシー・ファン・ダール(ヴァイオリン)
CD5:音楽の捧げもの BWV.1079
シギスヴァルト・クイケン(ヴァイオリン)、バルトルド・クイケン(フラウト・トラヴェルソ)
ヴィーラント・クイケン(ヴィオラ・ダ・ガンバ)、ロベール・コーネン(チェンバロ)
録音:1994年(CD5)、1993-1994年(CD1,2)、1981年(CD3,4)
SONY(Deutsche Harmonia Mundi)【ヨーロッパ輸入盤】
シギスヴァルト・クイケンは古楽指揮者でバロック・ヴァイオリンの名手。彼が率いる「ラ・プティット・バンド」は、古楽器アンサンブルの中でも、響きの美しさではトップ・レヴェルにあり、ここに収められたブランデンブルク協奏曲、管弦楽組曲、ヴァイオリン協奏曲の演奏でもそうした美質が作品の魅力をよく引き出しています。「ブランデンブルク協奏曲」では、豪華なソリスト陣営にも注目で、クイケン3兄弟に加え、寺神戸亮、鈴木秀美も参加し、オリジナル楽器の最高水準の演奏を楽しませてくれます。第2番では、ナチュラル・トランペットではなくコルノ・ダ・カッチャを使用しているのも特徴的で、18世紀バロック時代の息吹を現代によみがえらせようとする演奏スタイルは、とても優雅で心地良いものです。
また、「管弦楽組曲」では、オーボエが4人など、通常より大きな編成をとっており、厚めのサウンドで雄大な曲想を再現しています。録音からすでに30年以上経過していますが、ラ・プティット・バンドによるのこの演奏は、従来にはなかった速いテンポ設定など先駆的な規範となる解釈により、作品の本来の姿を表現したピリオド楽器によるオーセンティックな名演として高く評価されています。一方、ヴァイオリン協奏曲では、ケーテン宮廷での演奏記録に則り、13人ほどの編成で演奏して、コンチェルトの軽やかな魅力をしなやかに美しく描出しています。
「音楽の捧げもの」では、編成をさらに絞り込み、シギスヴァルト・クイケンのヴァイオリン、バルトルド・クイケンのフラウト・トラヴェルソ、ヴィーラント・クイケンのヴィオラ・ダ・ガンバに、ロベール・コーネンのチェンバロという4人の名手による布陣で見事な演奏を聴かせています。響きの重なり、研ぎ澄まされた調和など絶妙に息の合った名演で、「トリオ・ソナタ」における各楽器が競いあうかのような箇所での集中力も抜群です。重苦しさや厳めしさがなく、とても瑞々しく爽やかな演奏なので、「音楽の捧げもの」が苦手だった方にもオススメです。スリム・ボックス・ケースです。限定発売とのことなので、お早めに入手されることをお勧めします。