1-10. ブラームス(1833-1897)/ハイドンの主題による変奏曲「セント・アンソニー・バリエーション」 Op.56b(2台ピアノ編)
11-24. レーガー(1873-1916)/ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ Op.86(2台ピアノ編)
25. リスト/モーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」の回想 S418/R228
ハンス=ペーター・シュテンツェル&フォルケル・シュテンツェル(ピアノ) 録音:1999年
ARS MUSICI【ドイツ輸入盤】
ブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」は、代表的な管弦楽作品としてしばしば演奏されていますが、実際は2台ピアノ用に作曲され、後に管弦楽曲として作り替えられたもの。また、「ハイドンの主題」と言われているものの、ハイドン作ではないテーマを用いており、「聖アントニウスのコラールによる変奏曲」というのが本当のところです。ブラームスの卓越したオーケストレーションを楽しめる管弦楽版も勿論素晴らしいものですが、2台ピアノ版は細かい音の動きやリズムがより明瞭に聞き取れ、見事な変奏や対位的面白さが味わえます。シュテンツェル・デュオの演奏もドイツらしい折り目正しさが好ましく、多彩な美しさに満ちた爽やかな演奏です。
レーガーの「ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ」も上記のブラームスと同じく本来は2台ピアノ用に作曲され、後に管弦楽曲として作り替えられた作品です。変奏曲の大家として知られたレーガーらしい立派な書法は、ブラームスと比較しても劣らぬほどで、格調の高い演奏も抜群。リストの「ドン・ジョヴァンニ」の回想は、モーツァルトの傑作オペラの主題を縦横に用いた楽しい編曲作品。リストならではの圧倒的な技巧が盛り込まれた難曲ですが、シュテンツェル・デュオは過度に華美になることなく、落ち着いたロマンチシズムを鮮やかに表現しています。