1.アンドレア・ガブリエリ(1520-1586)/第6旋法のイントナツィオーネ
2.A・ガブリエリ/第6旋法のアンティフォナ
3.ジョルジョ・マイネリオ(1535-1582)/舞曲集第1巻-第6旋法のマニフィカト
4.A・ガブリエリ/カンツォン・アリオーサ
5.不詳/フランス民謡の旋律による即興
6.クレマン・ジャヌカン(1475-1560)/戦争
7-8.マイネリオ/舞曲集第1巻-フランス舞曲、ミラノ舞曲
9.マティアス=ヘルマン・ヴェレコーレ(?-1574以後)/タリアーナ(タレイア)の戦い
10.クラウディオ・メールロ(1533-1604)/第1旋法のトッカータ
11.メールロ/第5旋法のアンティフォナ
12.マイネリオ/舞曲集第1巻-第5旋法のマニフィカト
13.不詳/第5旋法のアンティフナ
14.不詳/「天の女王、喜びませ」によるファンタジア
15.マイネリオ/「天の女王、喜びませ(レジーナ・チェリ)」
ジャン・パオロ・ファゴット(指揮)/イル・テルツォ・スオーノ、ダルトロカント
ベアトル教会合唱団、フェニーチェ合奏団、スオナル・パルランテ合奏団
録音:2002年11月
ARTS【ドイツ輸入盤】
1515年のマリニャーノの戦いで勝利したフランスはミラノを公爵領とし、その戦いに従軍したクレマン・ジャヌカン(1475-1560)は「戦争」を作曲しました。その10年後、フランスはパヴィアの戦いで神聖ローマ帝国軍に敗北して公爵領を失い、マティアス=ヘルマン・ヴェレコーレ(?-1574以後)は「パヴィアの戦い」を作曲しました。前者は「フランスの戦い」、後者は「イタリアの戦い」と呼ばれるようになって有名になり、これらの編曲・模倣・引用が多数現れました。実際ジャヌカンとヴェレコーレの2曲は、太鼓を効果的に用いているだけでなく、声楽が描写的でインパクトがあります。ジョルジョ・マイネリオ(1535-1582)は、1574年に「8つの旋法のマニフィカート集」を出版しましたが、そのうち2曲には作曲者が「フランスの戦いによる」「イタリアの戦いによる」と記しています。マイネリオはヴェネツィアの東北に位置するアクイレーイアの教会の合唱指揮者でしたが、宗教音楽は忘れられ、16世紀後半の器楽舞踏曲として重要な舞曲集が残っています。
また、ヴェネツィアの聖マルコ大聖堂のオルガン奏者を務めたアンドレア・ガブリエリ(1520-1586)とクラウディオ・メールロ(1533-1604)の作品も収録されています。声楽曲や器楽曲を組み合わせた秀逸なプログラミングもよく考えられており、ルネサンス期のイタリアの息吹をイキイキと感じさせるアルバムです。指揮のジャン・パオロ・ファゴットは、アレッサンドリーニのコンチェルト・イタリアーノの中核として活躍した名テノールなので、さすがにイタリア勢らしい生彩に富んだ明るく開放的な演奏をしています。録音も優秀。