ＣＤ１： ベートーヴェン(1770-1827)：
1-2. チェロ・ソナタ第１番 ヘ長調 Op.5-1
3-5. チェロ・ソナタ第２番 ト短調 Op.5-2
6-8. チェロ・ソナタ第３番 イ長調 Op.69
ＣＤ２： ベートーヴェン(1770-1827)：
1-2. チェロ・ソナタ第４番 ハ長調 Op. 102-1
3-4. チェロ・ソナタ第５番 ニ長調 Op.102-2
5. モーツァルトの「魔笛」の「恋を知る男たちは」の主題による７つの変奏曲 変ホ長調 WoO.46
6. ヘンデルの「ユダ・マカベウス」の「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲 ト長調 WoO.45
7. モーツァルトの「魔笛」の「娘か女か」の主題による12の変奏曲 Op.66
ＣＤ３：
1-3. ブラームス(1833-1897)／チェロ・ソナタ第１番 ホ短調 Op.38
4-5. シューベルト(1797-1828)／アルペッジョーネ・ソナタ イ短調 D.821（チェロとピアノ編）
6-9. ブラームス／チェロ・ソナタ第２番 ヘ長調 Op.99
ＣＤ４：
1-3. ブラームス／ヴァイオリン・ソナタ第１番 ト長調 Op.78（チェロとピアノ編）
4-16. ドホナーニ(1877-1960)／チェロ・ソナタ 変ロ短調 Op. 8
17-20. ロベルト・フックス(1847-1927)／幻想小曲集 Op.78（抜粋）
ＣＤ５：
1-3. メンデルスゾーン(1809-1847)／チェロ・ソナタ第１番 変ロ長調 Op.45
4-8. シューマン(1810-1856)／民謡風の５つの小品 Op.102
9-12. メンデルスゾーン／チェロ・ソナタ第２番 ニ長調 Op.58
ＣＤ６：
1-4. ショパン(1810-1849)／チェロ・ソナタ ト短調 Op. 65
5-8. フランク(1822-1890)／ヴァイオリン・ソナタ イ長調 M.8（チェロとピアノ編）
9-11. グリーグ(1843-1907)／チェロ・ソナタ イ短調 Op.36
ＣＤ７：
1-3. Ｒ・シュトラウス(1864-1949)／チェロ・ソナタ ヘ長調 Op.6
4-7. プフィッツナー(1869-1949)／チェロ・ソナタ 嬰ヘ短調 Op.1
8-11. ヤナーチェク(1854-1928)／おとぎ話
エステル・ニッフェネッガー（チェロ）、ジェラール・ヴィス（ピアノ）、アネッテ・ヴァイスブロッド（CD4のみ，ピアノ）
録音：1975年8月(CD1,2)、1978年11月(CD3,5,6,7)
DIVOX【スイス輸入盤】
エステル・ニッフェネッガーはチェロ・ファンにはお馴染みのスイスの女性チェリストで、1983年から1986年まで東京芸術大学の客員教授も勤めていました。好評を得ている「バッハ／無伴奏チェロ組曲」をはじめ、DIVOXレーベルに多数の録音を行っていますが、現在入手困難なものばかりで、今回その録音の大半を集めたBOXセットが登場したことは、チェロ・ファンにとっては朗報に違いありません。ベートーヴェンからＲ・シュトラウスまで幅広い作品が集められており、ニッフェネッガーの芸風を知るには格好の充実した内容です。ほとんどが1978年11月にまとめて録音されたもので、ピアノ伴奏もジェラール・ヴィスでほぼ統一されていますが、全７枚を通して聴くと共通点だけでなく、相違点があることに気付かされます。
１，２枚目のベートーヴェンの作品集では、ニッフェネッガーはドイツ的な生真面目な堅苦しさを脱却して、古典らしい優雅で端正な側面をアピールしています。肩の力の抜けた軽やかな演奏ぶりは、多少好みが分かれるかも知れませんが、まことに風通しがよく、ベートーヴェンのチェロ作品を重苦しいと感じている方は、リラックスして聴くことができるでしょう。シューベルトやシューマン、ブラームスといったドイツ・ロマン派の中核的をなす名曲たちも、ドロドロした情感はまったく陰を潜め、柔らかな音色と流麗なフレージングを用いた女性ならではの優美でエレガントな演奏です。ニッフェネッガーの個性がとりわけマッチしているのが、メンデルスゾーンの「チェロ・ソナタ第２番」やフックスの「幻想小曲集」で、滑らかによく歌うチェロはロマンチックで絶品です。また、６，７枚目のフランクやグリーグ、Ｒ・シュトラウスのチェロ・ソナタになると、演奏がグッと力強くなり、表現の彫りも一段と深くなります。グリーグやＲ・シュトラウス、プフィッツナーにいたっては、こんなに良い曲だったかと見解を改めるほど雄弁な演奏です。
厚さ３センチ強のボックス・ケースなので、宅配便での発送となります。
