モデスト・ムソルグスキー(1839-1881):
1~15.組曲「展覧会の絵」
16.涙
17.瞑想曲
18.古典様式による間奏曲
19.ホパック
20.禿山の一夜(コンスタンチン・チェルノフ編)
ニコラウス・ラフゼン(ピアノ) 録音:2004年
CELESTIAL HARMONIES【アメリカ輸入盤】
ムソルグスキーのピアノ作品だけ集めた珍しいアルバム。人気の高い「展覧会の絵」はパワフルかつ知的な演奏で、たいへん立派な出来映えですが、このアルバムはそれ以外の知られざるムソルグスキーのピアノ作品との比較ができるところがミソ。晩年に作曲されたという「涙」や「瞑想」でのはかなく悲しげな表情をたたえた小品を聴くと、ムソルグスキーの別の顔が見えてくるかのようです。特に「涙」という作品はとても美しいので、「展覧会の絵」よりもこちらを好まれる方も多いのではないでしょうか。2分弱しかないもののリズミックで愛嬌たっぷりの「ホパック」も楽しい作品です。
また、チェルノフ編の「禿山の一夜」のピアノ版も珍しい録音で、確かにこれは「展覧会の絵」と同系列、いやそれ以上にダイナミックでテンションの高い作品。オーケストラ版とは違って、あくまでピアニステックなアレンジと洗練された演奏なので、響きが濁らずスッキリ見通しのよい演奏です。とはいえかなりパワフルな部分もあって、圧倒的な迫力があります。
ピアノのニコラウス・ラフゼンは1960年生まれで、エッシェンバッハやゲルバーらに師事した逸材。特にエッシェンバッハからその才能を高く評価されていましたが、2006年に惜しくもわずか44歳で亡くなってしまいました。ラフゼンの遺作となったアルバムです。