ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791):
1. 歌劇「魔笛」序曲(ブゾーニ編)
2-4. 2台のピアノ・ソナタ 変ロ長調(ゴールドストーン完成版)
5-7. ピアノ・ソナタ第5番 ト長調 K.283(第2ピアノ、グリーグ作曲)
8-9. アダージョとロンド ハ短調 K.617(ゴールドストーン編)
10-12. 2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448
アンソニー・ゴールドストーン、ロライン・クレモフ(ピアノ) 発売:2007年
DIVINE ART【イギリス輸入盤】
有名・無名を問わず良い作品をピアノ・デュオで弾きまくるベテラン・コンビ、ゴールドストーン&クレモフ夫妻は、たくさんの珍しい作品を録音してきましたが、このモーツァルトのアルバムも珍品といえるでしょう。モーツァルトのオリジナル作品は、「のだめカンタービレ」で一気に有名になった「2台のピアノのためのソナタ ニ長調 K.448」のみで、あとは編曲ものばかりですが、なおさらモーツァルト・ファンには興味深いところ。
冒頭のブゾーニ編曲の「魔笛」序曲からしてかなり高度な技術が必要です(楽譜も発売されています)が、演奏するのが楽しくてしようがないといった雰囲気の元気溌剌とした演奏です。また、グリーグ編曲の「ピアノ・ソナタ第5番」も意外に演奏機会が多いもの。ノルウェーの大作曲家グリーグは、モーツァルトを尊敬・愛好していたようで、モーツァルトのピアノ・ソナタを何曲も2台ピアノ版に編曲しています。賛否両論があるかも知れませんが、ほぼ第2ピアノのパートだけを創作したもので、オリジナルのモーツァルトの音楽を損ねず、軽妙な合いの手を盛り込んだユニークな編曲は、新鮮な魅力があります。
ゴールドストーン自身が編曲したという「2台のピアノ・ソナタ 変ロ長調」は、断片的に残されている作品をもとにした創作といっても良い作品ですが、何と21分もの大作になっているから驚きです。「アダージョとロンド ハ短調 K.617」は、もともとグラスハーモニカのための五重奏曲という珍しい作品で、上記のソナタと同じくこれが唯一の録音です。