ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)：
1-3. ピアノ協奏曲第９番 変ホ長調 K.271「ジュノム」
4-6. ピアノ・ソナタ第16番 変ロ長調 K.570
7-9. ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457
マリエッタ・ペトコヴァ（ピアノ）、マルコ・ボーニ（指揮）／コンセルトヘボウ室内管弦楽団
録音：2003年1月，1994年11月，2005年4月（デジタル録音，ライヴ）
DORON【スイス輸入盤】
マリエッタ・ペトコヴァはブルガリアのルーセに生まれ、ソフィア音楽アカデミーでリリ・アタナソヴァとギーナ・タヴァコヴァ、ウィーン音楽演劇大学でパウル・バドゥラ=スコダ、アムステルダムのスウェーリンク音楽院でヤン・ウェインに師事、さらにジョルジ・シェベク（セボック）に教えを受けました。日本ではまだ知名度が低いものの、すでにスイスDORONレーベルやChallenge Classicsレーベルからラフマニノフやショパン、モーツァルトのアルバムをリリースしており、欧米では非常に高い評価を受けています。
このCDは、彼女が様々な演奏会で弾いたモーツァルト作品を集めたライヴ録音集。まず最初の「ジュノム」からして溌剌とした演奏ぶりが爽快で、凡庸なピアニストが弾くと平板になりがちなこの曲に、生き生きとした青春の息吹が明瞭に感じとれます。また、快活さだけではなく陰影をクッキリつけた表情も実に豊かで、とりわけ短調の緩徐楽章における寂寥感をにじませた美しいソロが聴きものです。２つのピアノ・ソナタもニュアンスたっぷりのチャーミングな演奏で、即興性を感じさせる軽快かつ自由な表現は伸び伸びとして心地よいものです。比較的新しい録音の「ピアノ・ソナタ第14番」はライヴのホールの音場感がリアルな優秀録音で、ペトコヴァの心のこもった名演といえるでしょう。オススメです。
