大栗裕(1918-1982):
1~3.ヴァイオリン協奏曲
4.大阪俗謡による幻想曲(1970年改訂版)
5.管弦楽のための神話-天の岩屋戸の物語による(1977年管弦楽版)
6.大阪のわらべうたによる狂詩曲
下野竜也(指揮)/大阪フィルハーモニー管弦楽団、高木和弘(1-3,ヴァイオリン)
録音:2000年8月、大阪、大阪フィルハーモニー会館
NAXOS【香港輸入盤】
現代日本の優れた才能が、必ずしも東京から発信されるとは限りません。大阪フィルのホルン奏者を経て作曲家となった大栗裕(1918-1982)は、故朝比奈隆の薫陶を得て、独自のカルチャーを誇る大阪の文化を音楽で描き出しました。どの曲も独自の土俗的なサウンドを有しており、言葉の抑揚、濃密な味わいの生活思想、熱狂的な祝祭、バーバリズムに彩られたエネルギー……。それらが作用して生まれた作品は、「大阪発のバルトークまたはハチャトゥリアン」とでも呼びたくなる民族性を有して、聴き手に強く訴えかけてきます。「大阪俗謡による幻想曲」や「神話」は吹奏楽の世界では知らぬものがないほど定番の作品ですが、「大阪俗謡による幻想曲」はもともとオーケストラのために作曲され、ベルリン・フィルでも演奏されたことがある名作。のちに吹奏楽編曲版が出てから、広く知られるようになりました。反対に「神話」は吹奏楽版がオリジナルで、1977年に管弦楽版も作られました。期待の俊英・下野竜也の棒を得て、地元の大阪フィルも熱演を繰り広げています。吹奏楽界ではスター作曲家である大栗裕の音楽を再評価へと導く作品集です。