1.ヤニス・クセナキス(1922-2001)/ルボン A
2.ホセ・マニュエル・ロペス=ロペス(1956-)/カルキュロ・セクレト
3.マティアス・ピンチャー(1971-)/ネメトン
4~9.ジェイコブ・ドラックマン(1928-1996)/リフレクションズ・オン・ザ・ネイチャー・オブ・ウォーター
10.ヴィンコ・グロボカール(1934-)/タッチャー
11.ヤニス・クセナキス/ルボン B
ヨハネス・フィッシャー(パーカッション)
録音:2007年12月11-13日、ミュンヘン、バイエルン放送第2スタジオ
OEHMS【ドイツ輸入盤】
1981年生まれの打楽器奏者ヨハネス・フィッシャーのデビュー・アルバム。フィッシャーは、9歳にしてドラムとピアノを学び始めてフライブルク音楽大学に進み、巨匠ピエール・ブーレーズに認められ、2003年と2004年にはルツェルン祝祭アカデミーに特別招聘されました。その後、難関で有名なミュンヘンADRコンクールで見事優勝を果たした若き逸材です。このアルバムはパーカッション独奏とはいえ、太鼓系と鍵盤系(マリンバ、ヴィヴラフォン)を見事に使い分けた多彩な楽曲がとても面白く、技巧的かつ独創的な表現が満載。現代曲ながら独奏パーカッションの定番となりつつあるクセナキスの「ルボン」はAとBの両方を収録しているのもうれしいところ。太鼓系の野性的なリズムの応酬はスリリングで、フィッシャーの洗練された技術が遺憾なく発揮されています。ロペス=ロペスの「カルキュロ・セクレト」は、ヴィブラフォンの幻想的な音色が水の中を彷徨うかのごとく不思議な魅力があります。また、マリンバの超絶技巧が用いられているドラックマンの「リフレクションズ・オン・ザ・ネイチャー・オブ・ウォーター」は、静寂の中でゆらゆらと揺らぐ水や光を思わせるマリンバの音色がとても美しく、マリンバ・ソロの名曲といえるでしょう。グロボカールの「タッチャー」は、演奏者が台詞を喋りながら楽器を演奏するというユニークな作品。様々な打楽器を見事に操るフィッシャーの優れた技巧と優れた音楽性が如実に感じられるハイレベルなアルバムです。