フリードリヒ・クーラウ（1786-1832）：
1-4. フルート五重奏曲第１番 ニ長調
5-8. フルート五重奏曲第２番 ホ短調
9-12. フルート五重奏曲第３番 イ長調
レ・フィデル
シャルル・ゼブレ(フラウト・トラヴェルソ)
ラースロー・パウリク(Vn)、ガリーナ・ズィンチェンコ(Va)
エルセベト・ラーチ(Va)、セルゲイ・イストミン(Vc)
録音：2008年11月、ハールレム
ＯＲＦ（オーストリア放送協会）【オーストリア輸入盤】
フリードリヒ・クーラウ(1786-1832)は、ドイツ出身の古典派の作曲家ですが、デンマークの首都コペンハーゲンに移住し、そこで大いに活躍しました。クーラウの生涯はあまり恵まれたものではなく、子供の頃井戸に落ちた怪我のせいで片目であったり、ナポレオン侵攻時には24才で祖国を捨ててデンマークに逃避しなければならず、両親と火事で家を二年続きに失い、その翌年には長い間悩まされ続けた肺疾患が因で46年の生涯を閉じました。
しかし、クーラウの「ピアノのためのソナチネ」は、ピアノ学習で取り上げられる機会が多く、日本でも彼の名前はとてもよく知られています。また、クーラウはフルートの作品を数多く作曲しており、同時代の作曲家ベートーヴェンに作風が似ていたため「フルートのベートーヴェン」と呼ばれることもあります。クーラウの残したフルートとピアノのための作品もフルートを学ぶ人にとってお馴染みではありますが、意外に音源となる録音は少なく、このアルバムは非常に貴重なものといえるでしょう。
この３曲からなる「フルート五重奏曲集」も、フルートと弦楽四重奏曲のための作品。ベートーヴェン風ながら、しかし暑苦しさが少ない、爽やかな作風が魅力的です。しかもこのアルバムは、フルート・パートは古楽器のフラウト・トラヴェルソを用いるなど全てピリオド楽器を用いた演奏で、高雅な音色やピリオド奏法による鋭い表現が聞きものになっています。録音も秀逸で、これまでリリースされていたどのアルバムよりも刺激的で鮮烈な印象を与えます。フラウト・トラヴェルソを受け持っているシャルル・ゼブレは、「レ・タラン・リリク」など古楽器アンサンブルで活躍しており、すでにクーラウのフルート・ソナタ集のアルバムをリリースしています。弦楽四重奏団「レ・フィデル」はピリオド楽器アンサンブルで、チェロのイストミンは一流ソリストとして活躍しており、ANALEKTAやPASSACAILLEレーベルなどからソロ・アルバムを出しています。オススメ。デジパック・ケースです。
