ニコラウス・ネヴェルクラ(指揮)/クワドリガ・コンソート 録音:2005年
ORF(オーストリア放送協会)【オーストリア輸入盤】
イングランド、スコットランド、アイルランドの音楽は、ヨーロッパ大陸とは異なる歴史をたどってきました。たとえば、3度や6度という協和音程が他のヨーロッパの国々より早く用いられました。それは、芸術音楽と民俗音楽との境界線が大陸ほどはっきり引かれていなかったからです。ここには、17-18世紀の写本から採られた、心をなごませるしみじみとした民謡からにぎやかな舞曲まで20曲が収録されています。中核となっているのは清教徒革命期のイギリスを代表する作曲家ジョン・プレイフォード(1623-86)が1651年に出版した「The English Dancing Master(イングランドの舞踏教師)」という作品からの7曲。イギリス17世紀の代表的な舞曲を集めた「イングランドの舞踏教師」は、楽譜の発売当初から大人気を博し、100年以上ダンス音楽の定番として多くの版を重ね、カントリーダンスと言えばブレイフォードの舞踏集を指すほど普及しました。アルバムのタイトルになっている「As I Walked Forth(私が前に歩む時)」の胸をかきむしるような美しいメロディをはじめ、人間的でユーモアたっぷりの楽しい音楽などバラエティ豊か。その他の作品も民族楽器や打楽器がふんだんに盛り込まれており、録かも録音も抜群。声楽ファンにも古楽ファンにも大いにオススメです。