マイケル・ティルソン=トーマス（指揮）／ロンドン交響楽団 録音：1986年
SONY【アメリカ輸入盤】
アダンの「ジゼル」は、チャイコフスキーの「白鳥の湖」や「眠れる森の美女」、ドリーブの「コッペリア」など共に、バレエのレパートリーの中心を占める人気作品。初演以来数々の名バレリーナによって踊り継がれており、ジゼルはバレリーナ憧れの的です。ストーリーはヨーロッパのヴィリ伝説（結婚前に死んだ娘の霊がこの世に留まり、踊りで若者を誘って殺す）に基づいたもので、ちょっと怖いお話しです。
しかし、「ジゼル」はバレエとしては人気があっても、クラシック音楽としてはチャイコフスキーとは大分差をつけられているのも事実。ディスクが意外なほど少ないので、聴いたことがないという人さえ多いほどで、昔はカラヤン盤やマルティノン盤くらいしかなく、その他ではボニング盤がある程度でした。しかし、このマイケル・ティルソン=トーマス盤は比較的新しく、録音も演奏もほぼ理想的な名盤で、これから「ジゼル」を聴いてみようという人にはオススメ。リズム感とバランス感覚の優れたティルソン＝トーマスらしく、実に活き活きした演奏です。しかも、過度に音楽的にドラマチックに仕立て上げていないので、全曲がすっきり聴き通すことが出来るところがありがたいところ。
この曲は1841年のパリ・オペラ座での初演以来、様々に改編されて上演されたので、様々な版があるそうですが、このティルソン＝トーマスはアメリカン・バレエ・シアター版を採用しています。まあ、ほぼ完全に近い全曲ということが出来るでしょう。
