ヘルベルト・ケーゲル(指揮)/ライプツィヒ放送交響楽団、セシル・ウーセ(ピアノ)
録音:1985年(ボレロ)、1974年(ピアノ協奏曲)、1969年(ダフニス) ※ダフニスのみモノ(ライヴ)
WEITBLICK【ドイツ輸入盤】
ケーゲルのラヴェル作品集。ケーゲルはオペラ「子供と魔法」全曲を録音しており、「スイスの時計職人」と呼ばれるほど精密なオーケストレーションを誇るラヴェルを、マニアックなほどきっちりとしたアンサンブルで滑らかに仕上げをする冷血指揮者ケーゲルがどう料理するのか楽しみな組み合わせです。
「ボレロ」は、伴奏パートの強調などが個性的ですが、ケーゲルにしてはまだまだ常識的。凄まじいほどに美しいのは「ピアノ協奏曲」の方で、スバリこの曲のベストと言ってもいいほど優れた演奏です。セシル・ウーセ(1936-)は南フランス生まれのピアニストで、1953年のロン=ティボーを初めとして、ジュネーヴ、ヴィオッティ、エリザベート、ブゾーニ、1962年ヴァン・クライバーン国際コンクールと、輝かしい入賞歴を持っています。特にドビュッシーやラヴェルなどフランスものをはじめ、ショパンやモーツァルトなどの演奏は高く評価されています。ウーセはこの曲を得意としていて、ラトルとの録音(EMI)も評価が高いようですが、この透明で魅力的なピアノには参りました。ウーセはもっともっと評価されていいピアニストです。最後の「ダフニス」は合唱が素晴らしく、オケの分厚いハーモニーとともに圧倒的な迫力の演奏です。そういえば、ケーゲルは合唱の指導が超一流のようで、オペラをはじめ、合唱入りの曲が圧倒的に素晴らしい気がします。