エフゲニー・スヴェトラーノフ（指揮）／スウェーデン放送交響楽団
録音：1986年9月8日、1990年9月18日、ストックホルム、ベルワルドホール（ライヴ）
WEITBLICK【ドイツ輸入盤】
ロシアの巨匠スヴェトラーノフにとってシューベルトはそれほど中心的なレパートリーではなく、「未完成」はロシア国立響とのＬＰがあるのみでした。「ザ・グレート」はこれが完全初出レパートリー！スヴェトラーノフといえばロシアっぽい土臭い重々しい演奏をイメージしがちですが、晩年はあまりクセのないスタンダードなスタイルとなり、恐ろしく緻密で丁寧な演奏をするようになり、このシューベルトもロマン派の王道をゆく正統派の名演となっています。
「未完成」の繊細さは、スウェーデン放送響とのコンビネーション故に生まれたしみじみ感たっぷりの秀演。そこはかとなく、寂しく、荒涼とした風情の漂う美演です。「ザ・グレート」は巨匠と呼ばれる指揮者は漏れなくレパートリーに持っていますが、スヴェトラーノフの演奏は、じっくりとしたテンポ設定ながら胃もたれすることのない快活さも十分です。ホルンの朗々たる響きも清々しいばかりです。ブラームスの交響曲全集やこのシューベルトの美しい演奏を聴くと、実はスヴェトラーノフはドイツ・オーストリア音楽と相性がピッタリだったのではないかと思えるほどです。
実際「ザ・グレート」の演奏終了後には、鳴りやまぬ拍手の中でオーケストラがファンファーレを奏でる場面も収録されています。これは優れた演奏に喜んだ聴衆の拍手が長く続いた際に、現地では指揮者を賞賛するためにオーケストラがこのようなファンファーレを演奏する習慣があるからです。英語、日本語、ドイツ語によるライナーノート付き。
