アントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741):
◎ヴァイオリン協奏曲集「四季」
1-3. 「春」RV269 4-6.「夏」RV315 7-9.「秋」RV293 10-12.「冬」RV297
13-16. 弦楽のための協奏曲 ニ短調「マドリガーレ風」RV129
17-19. 弦楽のための協奏曲 ニ長調 RV114
ダヴィデ・モンティ(ヴァイオリン・ソロ)
アルベルト・ラージ(指揮)/イル・テンピオ・アルモニコ[ヴェローナ・バロック管弦楽団]
ファラン・シルヴァン・ジェイムズ、マルゲリータ・ツァーネ(ヴァイオリン)
クリシュナ・ナガラジャ(ヴィオラ)、アルベルト・ラージ(チェロ)
リッカルド・コエラーティ・ラーマ(ヴィオローネ)、ロレンツォ・フェーデル(チェンバロ、オルガン)
マリア・クリスティーナ・クリアリー(ダブルハープ)
録音:2010年3月12-15日
STRADIVARIUS【イタリア輸入盤】
「愛の四季」と題された注目のディスク。アルベルト・ラージは、「四季」では手稿譜に基づき、誤った演出や過剰な表現を避け、音響効果(effect)ではなく心に響く(affect)演奏を目指したとのことですが、その結果は予想外に個性的です。イタリア勢らしい明るい音色や開放的な表現は期待通りですが、むしろ穏やかな部分が徹底的に滑らかに磨き上げられているために、さほど過激な表現ではないにも関わらず、静と動、陰と陽のコントラストが強いのが面白いところです。昨今のイタリア勢のピリオド・アンサンブルは、やたら過激でド派手な演出をして驚かせますが、イル・テンピオ・アルモニコの演奏はむしろ優美の極みともいえる流麗なスタイルです。
「イル・テンピオ・アルモニコ(別名:ヴェローナ・バロック管弦楽団)」は、ヴェローナ生まれのアルベルト・ラージが創設したピリオド楽器アンサンブル。アルベルト・ラージはもともとチェロ奏者ですが、「アカデーミア・ストルメンターレ・イタリアーナ」でヴィオールやヴィオラ・ダ・ガンバ、ヴィオローネなどピリオド楽器の演奏者として活動するようになり、やがてリーダーとして指揮も行うようになりました。ラージとイル・テンピオ・アルモニコのコンビは、すでにSTRADIVARIUSやORFレーベルからたくさんのアルバムをリリースしており、中でもダッラーバコ(1675-1742)の協奏曲のアルバムで一躍注目されました。イル・テンピオ・アルモニコのリーダーであるダヴィデ・モンティ(1969年生まれ)は、A・ムラーリ、ミハイ・ヴルタ、エンリコ・ガッティ、エンリコ・パリッツィ、スタンリー・リッチーに師事した腕利きのヴァイオリニストです。薄型デジパック・ケース。強くオススメできるアルバムです。