レオポルト・モーツァルト(1719-1787)：
1-6. ディヴェルティメント ヘ長調「音楽の橇の旅」
7-13. カッサシオン ト長調「おもちゃの交響曲」
14-16. シンフォニア ニ長調 Eisen D.26
17-19. シンフォニア・ダ・カッチャ ト長調「狩りの交響曲」
ハンス・シュタットルマイアー（指揮）／ミュンヘン室内管弦楽団 録音：1995年
TUDOR【スイス輸入盤】
かのモーツァルトの父レオポルト・モーツァルト(1719-1787)といえば、優秀な教育者として知られていますが、作曲家としてはユニークな作品をいろいろ残しています。「音楽の橇の旅（そりすべりの音楽）」や「狩りの交響曲」、そして真作か偽作かを問われているくせにダントツで有名な「おもちゃの交響曲」など一般的な楽器といえないものも貪欲に音楽に取り込んだアイデアマンです。たとえば「音楽の橇の旅（そりすべりの音楽）」では実際に乗馬用の鞭や鈴が用いられ、馬橇(ばそり)が雪を蹴立てて軽快に進んでいく様子が目に浮かぶ描写音楽です。
有名な「おもちゃの交響曲（子供の交響曲）」は、昔はハイドン作と言われ、現在でもエトムント・アンゲラーという作曲家の曲ではないかと様々な説がありますが、一般に「おもちゃの交響曲」と呼ばれる３つの楽章もこの中に含まれています。いずれにしてもブリキ製のラッパやカッコウ笛、太鼓、ガラガラとなる楽器など様々なおもちゃが加わっているこの曲は、遊び心に満ちた楽しい娯楽的な音楽で、昔から人気の高い曲です。このアルバムでは全７曲で構成されており、途中で愛らしい児童合唱が入るのはちょっと珍しいのではないでしょうか。また、「おもちゃの交響曲」と並んで有名な「狩りの交響曲（シンフォニア・ダ・カッチャ）」は、明るく軽快なオーケストラと狩猟ホルンの包み込むような美しい音色が絶妙に絡み合う愉悦に満ちた音楽です。
指揮のハンス・シュタットルマイアーは、1929年にオーストリアのリンツ近郊生まれの指揮者で作曲家としても知られています。ウィーン音楽アカデミーでクレメンス・クラウスなどに学び、ウィーン室内管弦楽団やミュンヘン室内管弦楽団の指揮を40年近く務めた大ベテランです。日本では知名度が低いものの、伴奏指揮の巧さには定評があり、数多くの録音を残しています。特にバンベルク交響楽団とのラフの交響曲全集は高い評価を受けています。シュタットルマイヤーとミュンヘン室内管の機能性あふれるきびきびした演奏は、極めて音楽性で格調が高く、レオポルト・モーツァルトの音楽の素晴らしさを知るには格好のアルバムとなっています。心を楽しく浮き立たせてくれるアルバムとしてオススメです。
