エドゥアルド・ヴァン・ルモーテル(指揮)/ウィーン交響楽団、ジャン・マデイラ(メゾソプラノ)
録音:1959年(ステレオ)
TUXEDO【スイス輸入盤】
まさに知る人ぞ知る指揮者エドゥアルド・ヴァン・ルモーテル(1926-77)の貴重な演奏です。彼の経歴はよく分かりませんが、オランダ出身の天才指揮者として、わずか32歳でアメリカの名門セント・ルイスの指揮者に抜擢された逸材です。残念ながら若くして亡くなってしまったので、限られた録音でしか彼の音楽に触れることが出来ませんが、このTUXEDO(タキシード)レーベルにはいくつか彼のディスクがリリースされており、どれも実に素晴らしい演奏ばかりです。
このファリャのアルバムはかなり表情が濃く、とぼけた味わいのある実に面白い演奏です。スペイン的な生き生きとしたリズムと明るいトーンは秀逸。緩急自由自在のテンポ設定や各楽器のバランスが巧みなことにも舌を巻きます。「三角帽子」の冒頭のメゾ・ソプラノのマデイラの歌も、ゆっくりのテンポと独特の表現で熱唱していてユニーク。オケの力はやや劣っていますが、こんなに面白い演奏を埋もれさせておくのはもったいなさすぎます。録音もこの年代にしてはむしろ鮮明なことに驚くほどです。